タバコをやめると太る、とはよく聞く話です。
 
あなたの周囲にも、禁煙して太った経験のある方がいらっしゃるのではないでしょうか。

このコンテンツではタバコと体重の変化についてまとめています。

有害物質代謝のエネルギー消費が無くなる

パークサイド広尾レディスクリニックの内山明好医師によると、

個人差が非常に大きいのですが、禁煙直後は平均で5~6kg体重が増加するという報告がある。

そうです。
 
それでは、タバコをやめるとなぜ太るのでしょうか?
 
原因と考えられているものは複数あります。
 
まず、タバコの煙にはニコチンはじめ有害物質が大量に含まれています。タバコを吸うとその有害物質が肺から血管に入り込みます。
 
すると有害物質を代謝するために肝臓が一生懸命に活動し、エネルギーを消費します。
 
つまり喫煙者は体の防御反応のためのエネルギーを常に消費しているわけです。
 
しかし禁煙を始めるとこのエネルギー消費が無くなってしまいます。
 
食事量が喫煙時と変わらなければ、摂取カロリーが過剰になることも考えられます。すると当然、体重は増加します。
 
ちなみに、ヘビースモーカーほど、禁煙後の体重増加は大きいそうです。
 
これは代謝のために使われた消費エネルギーも大きかったためで、禁煙でそのエネルギーが消費されなくなるとその分摂取エネルギーが過剰になるのです。

味覚が鈍くなり濃い味好みに

喫煙者は味覚が鈍くなる場合があります。
 
ニコチンは血管を収縮させるので、毛細血管の先端が血行不良になります。すると舌にある味蕾の形が変化するなどして味覚が鈍くなると言われています。
 
加えて、タバコを吸うと口の中にタールやニコチンが残留するので、食品本来の味がわかりにくくなります。結果的に、濃い味付けを好むようになります。
 
タバコを吸っている人は、食事の際にソースやマヨネーズ、ケチャップを大量に使う傾向がありませんか?
 
そうした調味料の分だけカロリーが増えますし、濃い味のおかずはご飯がすすみ、つい食べすぎてしまいます。
 
こうした習慣を続けていると、どうしても太りやすくなるのです。
 

ニコチンによる食欲抑制が無くなる

最後に、喫煙が脳に及ぼす影響があります。
 
満腹中枢は大脳の視床下部にあり、この受容体に神経伝達物質のアセチルコリンが結合すると副交感神経が優位になって食欲がわきます。
 
しかしここにニコチンが結合すると、交感神経が優位になってしまい、食欲が低下してしまいます。
 
喫煙者に食が細い人がいるのはこのためです。
 
多くの喫煙者は若い頃からタバコを吸い始めます。若いうちは基礎代謝も高く、スリムな体型も維持できます。
 
しかし、中年以降になって禁煙すると、まず上で挙げたニコチンの食欲低下作用が無くなり、以前より食べるようになります。
 
加えて年をとると代謝も落ちているため、さらに摂取カロリーが過剰になりがちです。
 
こうした二重の理由から、禁煙すると太りやすいのです。
 
ここまで見てきたように、禁煙をすると、どうしても太りやすくなるのは否めないようです。
 
それでもやはり、タバコはやめるべきです。
 
喫煙が、ガンはじめあらゆる重篤な病気のリスクを高めるのはいまさら言うまでもありません。
 
加えて、タバコは健康を損なうだけでなく時間までも浪費させるそうです。
 
吸っている時間だけでなくタバコを買いに行く時間、喫煙所まで移動する時間などを合計すると、喫煙者はタバコのために毎日2時間ほどを費やしているという調査結果もあるそうです。
 
この時間をもっと生産的なことに使えたら、人生がさらに充実するはずです。
 

 
禁煙は確かに辛く、失敗も多いものですが、現在は病院で禁煙外来も受診できます。
 
禁煙外来では保険が使えるので、禁煙補助薬のチャンピックス利用の敷居も高くはありません。
 
禁煙のみならず、食事面でも医師からのアドバイスを受ければ、体重増加を抑える助けにもなってくれるでしょう。