みどりの杜城南クリニックの崎谷博征医師は「原始人食ダイエット」を提唱しています。
簡単に言えば、原始人時代に260万年続いた肉食中心の食事をする、というダイエット法です。
このコンテンツでは、原始人食ダイエットの概要を紹介しています。
原始人食ダイエットの効果 崎谷医師が体験
現代の食事では、一日の摂取エネルギーの半分は炭水化物から摂取します。
しかし、人間が穀物を常食するようになったのは、現在に至る1万年ほどです。
その200倍以上もの長い間、ずっと肉を食べていたのです。
つまり人間は本来肉食であり、穀物食には遺伝子が適応していない、というのが崎谷医師の考えです。
しかも、炭水化物の食事は血糖値を急激に上げるため、高血糖状態が毎食のように続きます。
いうまでもありませんが、高血糖が続くと肥満や糖尿病をひき起こします。
まとめると、
対して原始人が狩猟や採集で手に入れていた食糧、つまり肉、野菜、果物は人間の遺伝子に合い、なおかつ病気にもなりにくい。
ということになります。
崎谷医師は以前は体力がなくて疲れやすく、いつも口内炎ができていました。
やせてはいてもお腹だけは出ていて、年に二回は患者さんのカゼをもらって高熱で寝込むという、「不健康の塊」だったのです。
それが原始人食を始めてから・・・
- 2週間で体重が5kg減った
- 1ヵ月で体力がつき、疲労感や口内炎も解消
- カゼをひかくなくなった
- 脳の働きもクリアに
・・・と、様々な健康効果を得られました。
原始人食ダイエットは、体重が落ちるというだけでなく、生活習慣病の予防や体調不良の改善にも役立つのです。
次に原始人食ダイエットにおける、食べる・食べないのルールをまとめます。
原始人食ダイエットのルール 肉 魚 卵の食べ方
原始人食ダイエットには大きく分けて二つのルールがあります。
■ルール1
脂肪分の少ない肉類、魚介類、野菜、果物、海藻、キノコ類、日本の発酵食品、卵を中心に食べる
※注意
草食の家畜脂肪はOKです
野菜は糖質の多いジャガイモ類などは除きます
■ルール2
ルール1の食事内容を8割がた守る。
穀物は、一日一杯の白米のみ。
一日三食なら、一週間で21食。
そのうち4食は自分の好きなものを好きなだけ食べても構わない。
各食材を食べる際にもルールがあります。
食材にも、食べてOK、控えめに、NGの三つがあり、「控えめ」に分類されている食品は全体量の2割までにします。全体量は好きなだけ食べて問題ありません。
肉の食べ方
脂身はカットするか、脂肪分の少ない赤身が最適。
飼養場で育った家畜は、農薬などの毒物を口にしているため、脂肪に毒性が蓄積している。
加工肉は脂肪分、保存料が多いのでできるだけ食べない。
OK 赤身肉(牛、豚、鶏、ラム)
控えめ 霜降り肉
NG 加工肉(ハム、ソーセージ、ベーコン)
魚の食べ方
できるだけ天然ものを食べる。養殖魚は餌の毒性物質蓄積が懸念される。
天然ものでも大型魚は水銀や石油由来の毒性物質が濃縮されているのでダメ。
小魚、サバ、ニシン、サーモンがおすすめ。
缶詰や燻製は塩分が多いので避ける。
OK 大型魚を除く天然魚介類
控えめ 養殖物
NG 燻製、干物、缶詰の魚 塩漬けの食品
卵の食べ方
放し飼いの鶏の卵が理想的。
その餌は遺伝子組み換えではなく、無農薬であること。
生卵は黄身のみを食べる。生の白身を過剰摂取するとビオチン欠乏症のリスクあり。
原始人食ダイエットのルール 発酵食品 果物・野菜の食べ方
原始人食ダイエットでは日本の発酵食品、野菜、果物を食べる際のルールもあります。
見た目のチェック基準もあります。
野菜・果物の食べ方
新鮮な旬のものを選ぶ。
可能なら無肥料・無農薬の自然栽培、自然農法で作られたもの。
果物は無農薬・減農薬のもの。
見た目がきれいなものは、多くの薬品が作られている可能性あり。
糖質の多いジャガイモなどの根菜、バナナ、ブドウは控えめに。
ケチャップや青いトマト、ミニトマトは食べない。
缶詰やドライフルーツも摂取しない。
OK 主な実菜、果実類 根菜 葉菜 香菜
控えめ トマト ミニトマト ナス ジャガイモ バナナ ブドウ マンゴー
NG 青いトマト、ミニトマト 缶詰 ドライフルーツ 塩漬け食品・加工品
発酵食品を食べる際の注意点
みそや納豆など日本の発酵食品は大いに食べるべき。
無肥料・無農薬の原料で作られたものを選ぶ。
遺伝子組み換え作物は避ける。
白みそや塩分の多い味噌は良くない。
同様に、塩分の多い梅干しや漬物もNG。
市販のヨーグルトは牛乳を加熱殺菌し、有用な微生物を死滅させているので勧められない
原始人食と乳製品など 絶対食べないものは?
「原始人食」でのその他食材の選び方をまとめます。
「絶対食べない食品」もあります。
乳製品
OK バター
控えめ 牛乳 チーズ スキムミルク ヨーグルト 加工乳製品 生クリーム アイスクリーム
NG 特になし
穀類
OK なし
控えめ 米 小麦 大麦 ライ麦 そば アワ ヒエ トウモロコシ
NG パン うどん パスタ ラーメン ピザ 菓子類などの加工食品
海藻・キノコ類
OK 海藻・キノコ類全般
控えめ 養殖物
NG 塩漬け食品・加工品
油脂類
OK ココナッツ油 バター 牧草牛の牛脂
控えめ オリーブ油 アマニ油 ウォールナッツ油 しそ油 菜種油
NG ゴマ油 サラダ油
豆類
OK 納豆
控えめ 豆腐 大豆 豆乳 湯葉 凍り豆腐 ピーナッツ 枝豆 小豆 いんげん エンドウ ソラ豆 あんこ
NG 油揚げ 厚揚げ がんもどきなど加工食品
ナッツ類
OK マカダミアナッツ
控えめ アーモンド ゴマ クルミ クリ ギンナン ピスタチオ ひまわりの種 かぼちゃの種
NG 塩味の強いミックスナッツなど
絶対食べない食品
加工肉類
ハム ソーセージ ベーコン サラミ ホットドッグ 缶詰の肉類
菓子類
あめ ケーキ クッキー ドーナッツ チョコレート マフィン ポテトチップス
ミネラルウォーターや無糖茶以外の清涼飲料水
ソフトドリンク 缶コーヒー フルーツジュース
トランス脂肪酸を含む油脂類
マーガリン ショートニング ファットスプレッド ピーナッツバター
塩分の多い食品
漬物 ピクルス (塩のついた)ナッツ 燻製 干物 市販のドレッシング ケチャップ 塩入り調味料 缶詰
原始人食 減量に成功しやすい理由 リバウンドやインスリン抵抗性
原始人食ダイエットでは、食材さえちゃんと選べば、食べる量は特に制限されません。
そのためダイエットに成功しやすいといわれています。
その他にもダイエットが成功しやすい理由があります。
高タンパク食消化・代謝の過程でエネルギーが消費される
炭水化物中心の食事と比較して、高タンパク食は24時間で消費するエネルギー量が12%多いとされています。
原始人食を続けると、消化・代謝時のエネルギー消費により1年で10~13kgの減量効果が期待できます。
リバウンドがない
原始人食ではカロリー制限がなく、食べたいだけ食べてもOKなので食事制限のストレスがありません。
また、体重の落ち方はゆるやかなのでリバウンドは起きにくいのです。
空腹感を感じない
高脂質・高タンパクの原始人食は腹もちが良いのも特徴の一つです。
空腹感が少ないので、結果的に一日の摂取エネルギーが低く抑えられます。
インスリン抵抗性が改善する
インスリン抵抗性とはインスリンの効きが悪い状態です。
この状態では満腹感を得るのにますます高い血糖値(=多くの食事)が必要になります。
原始人食はこれを改善してくれます。
ダイエット・健康効果をさらにアップさせる
原始人食は調理法や味付けを工夫すると、ダイエット・健康効果がさらにアップします。
ちょっとした心がけなので、習慣化してみて下さい。
調理法全般
炭水化物を揚げたり、120度以上で加熱すると、アクリルアマイドという有害物質が発生します。
加熱時間が長くなるほどその量も増えるので、生かゆでる、蒸す、低温であぶるといった調理法が推奨されます。
味付けの注意
塩や砂糖の使用は極力減らし、塩麹やみりんを使います。
みりんは「みりん風調味料」ではなく、「本みりん」を使いましょう。
ドレッシングも、レモンのしぼり汁と推奨オイルの自家製がおすすめ
ご飯の食べ方
白米は一日に茶碗一杯まで。肉・魚・野菜・果物と組み合わせて食べます。
野菜や果物の食物繊維が血糖値の急上昇を抑制してくれます。
玄米はフィチン酸が含まれているため食べません。
どんな油を使うか
加熱による酸化が起こりにくいバター、牛脂、ココナッツ油などがおすすめ。
オリーブオイルでも可。
身体に良いオメガ3系脂肪酸であるアマニ油などは、加熱しないサラダに使用する。